2022年01月28日

有機栽培・特別栽培・慣行栽培について(一応永久保存版です)

こんにちは、

上島ひすいです。

 

新年のご挨拶もなく、気がつけば1月末になっておりました。。

申し訳ありません。本年も何卒よろしくお願い致します!

 

早速ですが、新年一発目のブログにして、過去最高のボリューム感で永久保存版?の内容となります。

きっとこの先もここまで長いブログを投稿することはないであろうと思います(笑)

内容は、「栽培方法〜有機栽培・特別栽培・慣行栽培」についてです!

ずっと書きたいと思っていた内容だったのですが、非常に長くなることが予想され、かつうまく説明できる自信がなかったので(今もですが)書いてこなかったのですが、

お問い合わせをいただく事が非常に多く、やはりちゃんとブログで説明しなくてはと思い、投稿に至ります。

 

今までよくわからなかったけど、そういう事だったのか!

と思っていただけるよう頑張ります。

難解・複雑すぎるJAS法と特別農産物ガイドラインの内容をできるだけ簡単に説明するために割愛する部分が多いのはご了承下さい。

それでは始めます!

 

まず、お米は栽培方法で3つに大きく分ける事ができます。

①有機栽培

②特別栽培

③慣行栽培

 

①有機栽培

有機栽培とは、過去2年間(アスパラガスや果樹などの多年生栽培の作物は過去3年)禁止された農薬と化学肥料を使用していないほ場(田んぼ)でないといけないという田んぼに対する条件があります。

農薬に関しては、有機JAS認証の登録農薬(化学合成ではなく自然由来の農薬)であれば使用が可能です。また、毎年必ず第三者機関による実地調査と膨大な資料の作成・提出があり、それをクリアしたお米にだけ有機JASマークを表示する事ができます。一度取得したらずっとJASマークを表示できるわけではなく、毎年必ず認証を取らなければ表示できません。

有機栽培=オーガニックであり、無農薬=オーガニックではありません。ここは結構誤認されている方もいらっしゃるのではないかと思います。有機栽培で多くの農家が頭を悩ませているのはほとんどの場合、除草対策です。雑草にやられてしまい収穫量が特別栽培や慣行栽培よりもかなり減ってしまいます。そのため販売価格が高くなってしまいます。他にも有機認証費用がかかったりと、その分も必然的に価格に上乗せになってしまいます。

また細かい話ですが、言葉が「有機認定」→「有機認証」に変更になりました。

 

②特別栽培

特別栽培とは、その農産物(お米)が生産されている各地域の、慣行的に行われている節減対象農薬及び化学肥料の使用状況に比べて、節減対象農薬の使用回数が50%以下、化学肥料の窒素成分量が50%以下で栽培された農産物のことを言います。

つまり農薬と化学肥料の双方が慣行レベルの半分以下で栽培される必要があります。北海道においては、農薬は22成分が慣行レベルですので、農薬が11成分以下かつ化学肥料の使用量が50%以下であれば特別栽培米とされます。

ここでややこしいのが、無農薬でかつ化学肥料も使用していないお米であっても、有機認証を取得していないお米は特別栽培米に分類されます。農薬も化学肥料も使用していないお米も、農薬と化学肥料の双方が慣行レベルの半分以下のお米も、どちらも「特別栽培米」に分類されます。

また、有機栽培のように第三者機関の認証などの必要はありません。ほ場の対する条件(過去2年間農薬や化学肥料を使用していない)等もなく、どの田んぼでも栽培開始可能です。

この先からかなりややこしくなりますがご了承下さい。

「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/tokusai_qa.pdfから抜粋しますが、

「無農薬」の表示については、消費者にとっては飛散した農薬を含め一切の残留農薬を含まないと受け取られており、有機JASの表示より優良誤認を招いておりました(無化学肥料も同様)。さらに、「無農薬」の表示は、原則として収穫前3年間以上農薬や化学合成肥料を使 用せず、第三者認証・表示規制もあるなど国際基準に準拠した厳しい基準をクリアした 「有機」の表示よりも優良であると誤認している消費者が6割以上存在する(「食品表 示に関するアンケート調査」平成14年総務省)など、消費者の正しい理解が得られにくい表示でした。

また、「減農薬」の表示は、

・削減の比較の対象となる基準が不明確
・削減割合が不明確 ・何が削減されたのか不明確(農薬の使用回数なのか残留量なのか) であり、消費者にとって曖昧で分かりにくい表示でした(減化学肥料も同様です。)。

このような、消費者の方々からの指摘を踏まえてガイドラインが改正されたところで あり、このガイドラインにおいては「無農薬」「減農薬」「無化学肥料」「減化学肥料」 の表示は表示禁止事項とされ、これらの語は使用できないこととなっております。

なお、農薬を使用していない農産物には「農薬:栽培期間中不使用」と、節減対象農薬を使用していない農産物には「節減対象農薬:栽培期間中不使用」と表示し、節減対象農薬を節減した農産物には「節減対象農薬:当地比○割減」又は「節減対象農薬:○ ○地域比○割減」と節減割合を表示しなければなりません。

一括表示欄において上記の内容が確実に表示されている場合には、一括表示欄の枠外において、これらガイドラインにおいて示されている表示を強調するほか、「農薬未使用」、「農薬無散布」「農薬を使ってません」「農薬節減」「農薬節約栽培」といった消費者に誤解を与えず、特別な栽培方法を正確に消費者に伝えることができる内容の表示を行うこともできます。(抜粋終了)

・・・

・・・

めちゃくちゃわかりづらい!!!(すみません。。)

 

要するに特別栽培米の米袋の一括表示欄に

節減対象農薬:栽培期間中不使用 化学肥料(窒素成分):栽培期間中不使用

節減対象農薬:当地比〇〇減 化学肥料(窒素成分):当地比〇〇減

と表示していれば、「農薬を使ってません」「農薬をできるだけ使用していません」などの表記をしていいよという事になります。(よね?合ってるかな…)そこがかなり曖昧な気もしますが。。

また、肝心なところなのですが、農薬や化学肥料を使用していない場合の「栽培期間中〜」という表記ですが、仮に栽培期間中以外も農薬や化学肥料を使用していなくても「栽培期間中」と表記しなくてはいけません。

農家になる前の私はこの表記をみて、「なんだ、じゃあ栽培期間中以外は農薬を使っているんだ」と認識していました。これは正しくもあり間違いでもあります。

どういうことかというと、栽培期間以外の規定はないので、農薬を使用していても、していなくても「栽培期間中〜」との表記になります。栽培期間中は農薬はもちろん使用できませんが、栽培期間中以外(例えば収穫後の田んぼに除草剤を散布する等)は農薬を使用してもいい事になっております。

 

またまたここでややこしいことが。。

いやいや、インターネットを開くと

「栽培期間中農薬不使用」や「農薬不使用」、「無農薬」、「減農薬」、「低農薬」…

いっぱいあるじゃないか!!と思いませんでしたか?

 

それが、「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」では、

「本ガイドラインが農産物についての消費者の選択に資するという目的で定められているためであり、例えば通信販売、カタログ等による会員制販売もガイドラインの対象となります。他方、特定の生産者と消費者とが結び付いており、栽培方法などについて相互に納得した上で売買されている場合は、表示が問題になるとは考えられないので、ガイドラインの対象外となります。」

との記載があります。

???

つまり、不特定多数の消費者の誤認を防ぐためのもので、消費者が特定されている場合はガイドラインの対象外となるという事です。

不特定多数というのは「どういう人が買ったかわからない状態」を指しますが、いわゆるECサイトや産直サイトの場合は、購入者が特定できるので不特定多数への販売とはならず、ガイドラインの対象外となるという事なのでしょう。

また、このガイドラインはあくまで「米袋の表記」についてのガイドラインなので、米袋ではない「インターネット上の表記」に対するガイドラインではないという事なのだと思います。このガイドラインが制定されたのが平成19年なので、まだECサイトや産直サイトなどが一般的でない頃ですからそこまで想定していなかったのではないかと思います。

 

結果、

 

“皆、混乱している”

のが現状な気がします(笑)

 

そういうたかしま農場も意図したわけではないのですが、非常にわかりづらい表記となっており、大変申し訳なく思っております。今後、表記の変更を検討しております。

お客様によくいただくお問い合わせ内容が、たかしま農場の「有機栽培米」と「無農薬・無化学」はどう違うんだと聞かれます。

ごもっともで何も言えないのですが、当農場の場合はどちらも無農薬で化学肥料も使用しておりません。栽培期間中以外も農薬の使用もありません。有機栽培米は平成16年から栽培しておりますが、近年無農薬のお米の需要が増え、令和元年から特別栽培米(栽培期間中農薬・化学肥料不使用)の栽培を開始しました。農薬と化学肥料を使用していないという点は同じですが、違いはほ場の状態が違う(平成16年と令和元年の違い)という事、JASの認証の有無になります。

 

有機栽培でも登録農薬であれば使用できますし、特別栽培でも栽培期間中以外は農薬を使用できるので、流通している農産物で気になる方は直接その農家さんに問い合わせてみてもいいかもしれません。

 

特別栽培の話でだいぶ長くなりましたが、最後は慣行栽培です。

③慣行栽培

慣行栽培とは、各地域の慣行的に行われている化学合成農薬及び化学肥料の使用量で栽培された農産物のことを言います。「有機栽培米」や「特別栽培米」とは言いますが「慣行栽培米」とは言いません。北海道においてはお米は農薬は22成分、化学肥料は10kg/10aが慣行レベルですので、その範囲内であれば農薬と化学肥料の使用が可能です。「有機栽培米」や「特別栽培米」などの表示がないものは慣行栽培で作られたお米になります。

 

以上、

①有機栽培②特別栽培③慣行栽培

の3つの栽培方法についてご説明させていただきましたがいかがでしたでしょうか?

もし間違いがあればご指摘いただけると幸いです。

 

この他にも「自然栽培」の表示を目にされた方もいらっしゃると思いますが、

たかしま農場は自然栽培ではないので、自然栽培について詳しく知りたい方は

自然栽培をされている農家さんにお問い合わせいただければと思います。

 

本日は、栽培方法についてでした!(決して読みたくはないボリューム)

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